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49.

　小長井に向かって歩き出した瞬間、小長井が久美子にカメラを向けた。
「あっ、そのまま！そう、そのまま歩いて来て」
　スタジオ全体が明るくなっていて、小長井はデジタルの一眼レフを構え、近づいてくる久美子に向かって何度もシャッターを切った。

　久美子は話しかけようとしてタイミングを失い、戸惑いながら再び声を掛けようとしてヤメ、小長井の元まで着いた。
「小長井さん、わたし・・・・」
「久美子さん、チョッと見てみます？」
「エッ！」

　小長井は手際良くデジカメを操作し、液晶画面に表情豊かな久美子を次々と映し出した。

　久美子は自分が写っている写真を見て驚いた。
「いかがですか？」
「エッ！えぇ・・・・」
「自分では意識していない顔って、自分でも驚きでしょう？」
「えぇ、ホントに・・・・」
　次々と映し出される自分が別人のようにさえ感じていた。

「これは少し困ったような表情が久美子さんの可愛いらしさを感じさせ、何かを言おうとして半ば口を開いたこのカットは、変ないい方ですが、口唇に色気を感じますよね！？」
「・・・・・・・・・・・・」
「これは少し角度が変わっただけで、スラリとした脚と肉感を感じさせるヒップのバランスが抜群で・・・・久美子さん、プロポーションがいいんですね！？」
「いえ、そんなことは・・・・」
　久美子はそうは言いながらも、自分でも驚くぐらい魅力を感じた。
「どうです。続けて撮ってみますか？」
「エッ、えぇ、小長井さんさえ宜しければ」
　久美子はもっと自分の知らない自分を見たいと思った。

　スリムなジーンズと白地に薄い模様の入ったブラウス姿・・・・、平凡な衣服だったが、ブラウスをジーンズの中に入れたり出したり、ボタンをひとつ外したり、ふたつみっつと外したりしただけで、写された写真は同じ角度でも違った雰囲気を感じさせていた。
「凄い・・・・不思議、写真って不思議な世界ですね！」
「まだまだ久美子さんの魅力のホンの一端ですよ！もし良ければ、ブラウスの下のブラを外してみては？」
「エッ！で、でも・・・・」
「ふっ、大丈夫ですよ！ここには僕らふたりだけですし、プレビューで確認して、イヤだったならすぐに消去すれば」

　久美子は確かにそうだと思うと同時に、意外な自分を見ることができるかもという期待感で頷き、その場で器用にブラジャーを外した。
　白地のブラウスは薄く、模様の隙間から透けるように乳房の膨らみと乳首が見えていた。
　乳首は堅くなり、薄いブラウスの布地を突き上げていた。
（わたし大胆？・・・・何か、変な気持ち・・・・）

　再び小長井は少し戸惑っている久美子にカメラを向け、次々とシャッターを切り続けた。

　撮影を終えた小長井から液晶画面を見せられ、久美子はドキドキしながら視線を向けた。
「わっ！」
「う～ん、乳房が透けて見えて、白くキメ細かな肌が煌いて素敵ですね！これも透けて見える乳房と乳首がキレイで、妙な卑猥さが無く、女性の美しさを感じさせますね！？」
「えぇ・・・・ホント・・・・」
　プロポーションに自信の無かった久美子だったが、次々と映し出される写真は、オンナの魅力を感じさせるのに充分だった。
（恥かしさより見知らぬ自分に出遭った気分・・・・）

　さらに撮影を続けた。
　久美子は次第に大胆なポーズをとるようになった。

「あっ、これは完全に上から覗いたような感じで、乳房が丸見えだわ・・・・」
「だけど、少しもいやらしく感じない？」
「えぇ、そう・・・・本当に・・・・」
　ストレスの溜っていた久美子にとって、大胆になればなるほど、溜っていたストレスが飛んでいくようだった。

「どうですか？もう一度、雑誌用のワンピースに着替えたら？」
「エッ？」
「最初に撮影した雑誌用の数カットと比較してみるんです」
「あぁ、それはいいですね！」
「ですが、せっかく久美子さんの現れ始めた魅力を閉じ込めても・・・・だから、ワンピースの下は何も着けないで、どうですか？」
「エッ、えぇ、そうですね・・・・（チョッと抵抗が・・・・でも、面白いかも？）」
　久美子はすぐに着替え室に入っていった。

　再び着替えをしながら、その手が止まった。
（どうしよう・・・・ブラジャーは外したままだけど、何も着けないってことは、このパンティも、脱ぐのよね・・・・）
　久美子はこの時、思いがけない自分の中の淫らな欲を感じた。
（小長井さん、何も着ていないわたしの裸、アソコを見ても、平気なのかしら？女性には困っていないから、わたしなんか・・・・だけど、もしも、万が一にも、小長井さんが・・・・そうしたら、わたしは・・・・どうなる？どうする？・・・・）
　短い時間の中で、久美子の頭の中にいろんなことが浮かんでは消えていた。

「すみませ～ん！お待たせしました・・・・」
　久美子は頭の中のモヤモヤを吹っ切り、小長井の元に向かった。

　無造作に開いたシャツから見える小長井の胸は逞しく、久美子の視線は自然と小長井の股間に流れた。
（あっ、わたしったら何を・・・・）
　久美子は何故か沸き上がる淫らな気持ちを抑え切れなかった。

　小長井は久美子の着替えている間に、スタジオの中に無機質な大小の立方体や長方体の箱を用意していた。
　高い天井からは太いロープが垂れ下がり、スポンジのようなマットのようなものなどが数多く置かれていた。

　小長井はあの優しい微笑で久美子を迎えた。
「どうですか？」
「えぇ、チョッと・・・・ビックリしてます」
「意味は何も無いのですが、久美子さんが動けば意味が出るかも？」
「こういう無機質な物って、使い方によって何にでもなりそうですね」
「何も使いたくなければ、無い所で動けばいいし」

　久美子は撮影される前からハイな気分になっていた・・・・。

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2009.2.14掲載

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秋水さんの他作品（2009.2/2現在）
『淫香』	『淫蜜』	『サブリミナル』
『サイコ・・・千年王国』	『ＳＥＸ仕置人　ミカ』	『劇団ＩＮ＝イン』
『青春放浪記』	『淫界大迷宮』	『雨宿り・・・』
『実践結婚相談所』	『プロフェッショナルのオンナたち』	『萠・・・その性』
『性春浪人』	『市役所の人妻たち』	『平成の団地模様part1』
『ベビーシッター亜季』	『主婦の中に潜むオンナ・・・』	『性少女・・・Ａ』
『引越しサービス』	『犯す！』	『平成の団地模様part2』
『恵子・・・不惑の時』	『撮られた女』	『哀しくも悦びの・・・性（さが）』
『強姦日記』	『続平成団地模様』	『異次元ＰＯＳＴ』
『妄想と現実の狭間で』	『遠い日の記憶』