携帯マル秘人妻サイト

90.

　オトコは席に座り直した優子の肩を抱き囁いた。
「いつも素敵な女性だと思っていたので、今日は書店でドキッとしました」
「エッ！じゃあ・・・・」
「分かってなかったんですか？奥さんと同じマンションの諸住です。まさか、じゃあ、痴漢だと思っていたんですか？」
「え、えぇ」
「じゃあ、ドキドキもので大変だったんですね。僕は随分前から奥さんのことは存じてまして・・・・」

　優子はホッとしながらも、これからどうしようかと迷った。

　そうこうしている間に映画が終わり、館内が明るくなった。
「とりあえず出ましょうか？」
　諸住に促され、優子は諸住の後に従った。

　館内を出た優子は、諸住に断って化粧室に入った。
　諸住との初めての淫交の後始末をし、化粧を直した。
（わたしが・・・・あんな大胆なことを・・・・何となく、わたし、顔が変わったような気がする）
　洗面所の鏡に映った自分が、優子には別人のように思えた。

　マンションに帰ったふたりは、優子の部屋に居た。
「僕は３階下の507号室で妻とふたり暮らし。営業先との約束が延期になって直帰することにしたら、奥さんと」
「こんなこと初めてで・・・・」
「僕だって何もかもが初めてだったんですよ。電車の中でも映画館でもドキドキしっ放しでしたよ。これから、どうします？・・・・僕はこれっきりにはしたくない」
「・・・・・・・・わ、わたしも・・・・」
　優子が頷くや否や、諸住は優子の身体を抱き寄せた。

　お互いの衣服を脱がしあい、ふたりは激しく求め合った。
「あぁああああ～～～い、いぃ～～っ・・・・」
　優子は防音完備の部屋で思い切り淫らな声を上げ、その見事な裸体を灯りの下に晒し、諸住を喜ばせた。

　この日から諸住の仕事の合間を縫って淫交を重ねた。
　オンナの淫欲に目覚めた優子は、諸住と様々なセックスの悦びを経験し、日毎に深みに嵌っていった。

　１ヶ月後、優子は友人の紹介で沙希と会っていた。
「このままでは、お互いの家庭が崩壊してしまうかも・・・・そう悩んでいたら、沙希さんを紹介されて」
「そうですね。今、上手く割り切らないと大変なことになりそうですね。わたしの携帯サイトは準備中ですが、まもなく開設します。既に開設しているサイトでは、いろんな人妻の方々が思い切り楽しみ、その上で家庭を大事にしています。・・・・・・・・・・・・」
　優子は沙希から『携帯マル秘人妻サイト』の説明を受けた。

　翌日、優子は諸住の了解を得て、サイト登録の手続きを行なった・・・・。

　金指妙子は結婚５年の32歳、NPO法人『ボランティア』に所属していた。
　大学でボランティア活動を始め、結婚後も地域の法人に参加した。
　高齢者の介護の補助や清掃活動など、妙子は日々、自分の時間は全てボランティアに費やしていた。

　夫の康平とは大学時代にボランティア活動で知り合い、６年近く半同棲を経て結婚した。
　結婚した当初は子供を作ろうと毎晩のようにセックスをしていたが、長い半同棲が影響してか、次第に回数が減り、１年も過ぎた頃には、お互いの部屋の行き来も無くなっていた。
（結婚11年って感じよね・・・・新鮮味が無くなっても仕方ないわね）

　毎日が充実していた妙子の唯一の悩みが、セックスレスだった。
『妙子はボランティアと結婚したようなものだな。僕を夫に選んだのもボランティアだったんじゃないのか？妙子のようないいオンナが、僕のような平凡なオトコと結婚するなんて・・・・』
　最近、康平から聞いた言葉が、妙子の頭から離れなかった。

　確かに妙子の容姿は端麗だった。
　全体的にスリムなイメージの妙子の顔は、卵型で瞳が大きく美麗だった。
　身長は160cmぐらい、バストは84cmで特別大きくはなかったが、ウエストは57cmと細く、ヒップは85cmで滑らかにアップし、贅肉はほとんど無かった。

　そのプロポーションは大学時代から現在まで変わることなかったが、康平にとって有難味は薄れていた。

『どんなにいいオンナでも手に入ってしまえば、後は飽きるだけ・・・・』
　以前、誰かが言っていた言葉が思い出された。
（康平さんは、自分で自分の良さが分かっていない・・・・かと言って、わたし自身を無理矢理押し付けるのは逆効果・・・・）
　妙子の悩みは堂々巡りだった。

　そんな妙子に沙希が声をかけた。
「サイト登録者の方の紹介で妙子さんに」
「面白いサイトだとは思いますが、わたしに夫を裏切れません」
「裏切るなんて！夫婦としての義務を放棄しているのはご主人の方、ご自分からセックスを求めることが出来ないのなら、夫婦円満のためにもサイト参加を考えられてはいかがですか？」

　妙子は沙希からの『携帯マル秘人妻サイト』への誘いに迷った。
（でも・・・・参加したいと思っても相手の男性が居ないわ）
　妙子は沙希の勧誘もいつの間にか忘れ、ボランティアに没頭していた。

　この日も公園の清掃をしていた妙子は、NPO法人の代表、高梨から声をかけられた。
「妙子さん、そこの掃除が終わったら事務所に来てもらえますか？」
「エッ、あ、はい」
　高梨は38歳の独身で、地域の住民からも尊敬されている男だった。
　無論、妙子もひとりの人間として高梨に尊敬の念を抱いていた。

　ピンポ～ン！
　高梨に言われ、妙子は事務所でもある高梨のマンションを訪ねた。
「やぁ、申し訳ない。来週のケア活動の担当と日程表を作ってもらえませんか？ここに雑に書き記したのがありますので・・・・」
「分かりました。高梨さんもおひとりで大変ですね」
「いえ、もう慣れましたよ。妻が交通事故に遭って４年、法人組織にして３年、早いものです」
「偉いですわ！全てをボランティアに・・・・ななかな出来ることじゃないと思います」
「妙子さんだって大学時代からもう10年以上もボランティアを・・・・チョッと申し訳ないけど、昨日はあまり寝ていないので、奥の部屋で少し休ませてもらってもいいかな？配布用の文書が仕上がったら声を掛けてくれませんか？」
「あ、はい。ゆっくり休んでいてください」

　妙子はExclを開き、乱雑な紙片を整理しながらまとめ始めた・・・・。
　

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2009.7.22掲載

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秋水さんの他作品（2009.7/22現在）
『淫香』	『淫蜜』	『サブリミナル』
『サイコ・・・千年王国』	『ＳＥＸ仕置人　ミカ』	『劇団ＩＮ＝イン』
『青春放浪記』	『淫界大迷宮』	『雨宿り・・・』
『実践結婚相談所』	『プロフェッショナルのオンナたち』	『萠・・・その性』
『性春浪人』	『市役所の人妻たち』	『平成の団地模様part1』
『ベビーシッター亜季』	『主婦の中に潜むオンナ・・・』	『性少女・・・Ａ』
『引越しサービス』	『犯す！』	『平成の団地模様part2』
『恵子・・・不惑の時』	『撮られた女』	『哀しくも悦びの・・・性（さが）』
『強姦日記』	『続平成団地模様』	『異次元ＰＯＳＴ』
『妄想と現実の狭間で』	『遠い日の記憶』	『ＳＥＸ仕置き人チェリー』