110. 沙希は定員に達したサイトにホッとしていた。 「暫くは落ち着きそうだから、わたしも楽しまなきゃ」 「そうね。主催者特権で自分の予約カレンダーを有効に。そのうちに2つのサイトの交流会も開きましょう」 「えぇ、楽しみだわ」 沙希は杏子とサイトの成果を話しあい、自らも様々なオトコたちと楽しもうと胸を躍らせていた。 沙希がオトコたちに予約を入れようとしていた時、知人から連絡があった。 『どうしても緊急に登録してほしい女性がいるの』 『エッ!そう言われても・・・・』 沙希は欠員が出ないとダメだと答えたが、知人から詳しい事情を聞き、枠外として承諾した。 枠外として登録を認められた人妻は、吉岡 マリアという名で26歳の金髪美人だった。 夫の吉岡 修一郎は32歳、商社に勤務していた。 修一郎が赴任していた東欧でマリアと知り合い、半年後に結婚した。 日本人旅行者の通訳&ガイドをしていたマリアは、身長167cm、3サイズは90・57・88の肢体で、誰もが振り返るほどのプロポーションだった。 東欧の女性らしく象られた顔は美麗で、修一郎はひと目で夢中になり口説き落としたのだ。 修一郎の体躯も逞しく、183cmのスポーツマンだった。 結婚して3ヵ月後、修一郎はマリアを連れて日本に戻った。 日本ではマンションに住み、1ヶ月が過ぎた。 マリアも人妻として落ち着き始めていた。 「マリア、来週からアメリカに行くことになった」 「エッ!まだ日本に帰って1ヶ月しか経ってないのに」 マリアは大きな瞳を哀しげに細めた。 「3ヶ月ぐらいだから、ひとりで行こうと思う」 「エェ〜ッ、修一郎、マリア、ひとりで暮らすの?」 「同僚の女子社員が近くに住んでいるから大丈夫さ。1年も2年もと言うのなら、一緒に赴任するんだが・・・・3ヶ月と言うのは中途半端で」 日本語が堪能なマリアだから困ることは少ないと思った。 日夜仕事漬けになるアメリカに連れて行くのは、マリアにも大きな負担を掛けると判断したのだった。 何度も同僚に頼んであるからとマリアを説得し、修一郎はアメリカに発っていった。 マリアは修一郎がいなくなり不安な気持ちになったが、修一郎が不在の間に多くの人と接しようと思った。 (日本語は喋れても、日本をもっと理解しないと・・・・) 修一郎にとって良き妻となる為の勉強期間だと思い、いろんな場所に行き、多くの人から学ぼうと決めた。 翌日、無事に着いたと修一郎から連絡があり、マリアはホッとしたが、電話を切ると急に淋しく不安になった。 部屋の中にひとり、何度見渡してもマリアひとりだった。 外で夕食を食べた時も、周囲には多くの人間がいるのだが、話し相手も無く、尚更、孤独感を感じた。 マンションに戻ると、さらに不安になった。 ピンポ〜ン! そんな時、チャイムが鳴った。 (誰かしら?そうだわ、修一郎の同僚の人かも・・・・) ドアホンの受話器を取った。 「どなたですか?」 「小泉と申します。アメリカに出張されたご主人に頼まれまして」 マリアは修一郎の言葉を思い出した。 『同僚に頼んであるから・・・・』 マリアは不安感から解放された気持ちになり、ドアを開けた。 ドアを開けると、キチンとスーツを着た男が微笑んでいた。 「小泉さん?」 「はい、ご主人から出張中の奥さんを宜しく頼むと言われて、奥さんは日本に来て1ヶ月しか経ってないので、きっと不安で淋しがっているから、自分の代わりをしてほしいと念入りに頼まれて」 マリアは小泉の説明を聞きホッとした。 (修一郎は優しい。細かく同僚に頼んでくれてたのね) 小泉の話しの内容が細かく確かだったので、マリアは安心して部屋の中に小泉を迎え入れた。 小泉はリビングのソファに腰を下ろした。 「奥さん、日本には慣れましたか?」 マリアの出したコーヒーを口に運びながら、小泉が聞いた。 「えぇ、少しは・・・・でも、今日は修一郎がいなくて不安でした」 「大丈夫ですよ。今日は僕が修一郎君の代わりをしますから安心して下さい。奥さん、夕食は済まされたのですか?」 「はい、外で食べました」 「じゃあ、後はお風呂に入って寝るだけですね?」 「えぇ、だけど、ひとりだとお風呂に入るのも不安で」 「もう安心して下さい。こうして僕が居ますから」 マリアは肩に入っていた力が抜け、やっと和んだ。 小一時間ほど、ふたりは談笑した。 「小泉さんて面白いわぁ。冗談ばかり言って」 「奥さんは、そうして笑っている時が一番いいですね。そろそろお風呂に入って寝る準備をしたほうが・・・・」 「そうですね。小泉さんが居てくれれば安心だから」 マリアは着替えの下着やパジャマを持って浴室に向かった。 少し間を置き、小泉が動き始めた・・・・。 |
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2009.9.9掲載 |
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